職人の経験と学者の理論

爆破シーンを撮影したり、鮫と戯れたりといったことでは失敗は許されない。
チャンスは一度だったり、大事故につながる危険性も高いからだ。
これらの現場一線で活躍するプロフェッショナルたちは大規模で複雑な作業を身長に確実にやってのける。
こうした技術や行動力にはどんな分野であれただ感心するばかりだ。


たった一度のチャンスをものにするためには想像力と厳密な計画が必要だろう。
ところが今のコンピュータはいとも簡単に修正できる。
その結果失敗しても後で直せばよい、無計画に何かを作り始めることが多くなっていないだろうか。
何度でもやり直せることがわれわれの注意力と計画性と想像力に対する考えを低下させているのではないか。


事実、DECとかPC98時代の人は修正に時間がかかることから、いきなり無計画にものを作り始めたりはしない。
頭の中で綿密に計算し、誤りを見つけ出し、決まりきったことは確実に暗記してとらぶるにも対処する。
これらはまさに職人芸といえよう。
私は学者でなく職人になりたいと思う。両者のバランスは大事だと思うし、最近は職人が減っているように感じるからだ。